文教大学大学院人間科学研究科30周年記念誌の発刊、誠におめでとうございます。心よりお祝い申し上げます。
私は福岡県にある福岡女学院大学人間関係学部子ども発達学科というところで、教員?保育者養成に携わっております。あわせて心理士の活動も継続しておりまして、スクールカウンセラーや幼稚園?保育所の巡回相談等、主に子ども関する領域に関わっています。
人間科学研究科には平成20年より臨床心理学専攻博士後期課程に3年間在籍しておりましたが、在学中も満期退学後も学位取得に向けて、指導教員の高尾先生をはじめ、たくさんの先生方からご指導を承りました。大学、大学院前期課程までは広島で過ごし、誰も知り合いもいない関東に飛び込んでいきましたが、先輩方や前期課程の学生さんたちが温かく受け入れてくださったのを覚えています。当然研究をするために博士課程に入学したのですが、なかなか順調にいかない日々でもありました。臨床心理士として働き始めたばかりでもありましたので、いろいろな壁にぶつかっていた気がします。新米心理士としてのケースの悩みはもちろんのこと、不安定な非常勤心理士として日々の生活資金を稼ぎながら、学費もやりくりをどうするかなど、恥ずかしながら研究一筋とは言えない大学院生活であったと思います。それでも文教の院生室に来ると、研究や臨床心理学を学ぶ楽しさを感じれる時間であったなと思います。
研究指導では指導教員の高尾先生はもちろんのこと、ご担当の先生方はお忙しい中、いつも優しく丁寧にご指導くださった記憶があります。普段が温かいので、中間発表の時だけはそのギャップにとても緊張した記憶も残ってますが(笑)。博士課程をご担当ではない先生方からも、数々のご助言やSVを頂き、本当に感謝しております。カンファレンスでは前期課程の学生の熱心な取り組みやご意見を伺うことができ、私自身勉強させていただくことがたくさんありました。みなさん真摯に取り組んでおり、自分の学んできたものをどのように臨床活動に活かせるかという視点を持たれていたような気がします。
自分の研究や専門性を深めていくことも大事ですが、心理臨床に関わる上で、私は広い視野を持つことが大事だと思っています。様々な方向に視野を広げられるような考え方になったことがここでの学びの大きな位置づけになっています。文教大学には多種多様のご経験やご専門をお持ちの先生方いらっしゃいます。また様々な場所でご活躍されている修了生もたくさんおります。現在学生の皆様方にはそのメリットを生かして、ぜひ視野を広げていただければと思います。
最後になりましたが、人間科学研究科のますますのご発展と、先生方、学生の方、修了生の方、そして人間科学研究科に関わる皆様のご活躍をご祈念申し上げます。
毛利 泰剛
2016年度博士号取得 臨床心理学専攻
福岡女学院大学人間関係学部 准教授