文教大学大学院 人間科学研究科 30周年記念サイト

栗本 美百合(2013年度修了)

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30周年おめでとうございます。

2014年3月に後期博士課程を修了し博士号を取得した栗本美百合です。私は、40代半ばで文教大学の後期博士課程に入学しました。修士論文で芸術療法における素材についての研究をしてから、いつかより臨床的で実践的な素材や創作プロセスの心理的な支援の側面について論文にまとめてみたいと考えていました。心理士やスクールカウンセラー、芸術療法士として、医療、教育、福祉分野などさまざまな臨床現場で絵画造形活動を心理的な支援として行っていましたので、これらの経験から得た知見を、高尾弘幸先生のご指導の下、博士論文「臨床心理における造形活動の意義」にまとめることができました。在学時は高尾先生だけではなく、たくさんの先生方にお世話になりました。どの先生もいつも快くいろんな質問に答えてくださり、多角的な研究の視点をご教示いただきました。

大学院生の中でも一番年長の私でしたが、在学時は研究室やゼミにおいても院生の方々ととても仲よく楽しんで過ごすことができました。同じゼミで大学生や院生の人と夏の合宿に行ったこと、博士後期課程で一緒だったみんなで飲み会にもよく行っていました。勤務先での人間関係ではなく、同じ大学で学び合う者同志、仲間としての関係は社会生活が始まってからは貴重な経験で、今でも交友関係が続いている方も多く、本当に文教大学での出会いに感謝しています。博士の後期課程が修了してからも大学院生の方のグループスーパービジョンの授業や臨床心理学科の学生の方への芸術療法の授業を担当させていただいていました。2016年に関東から奈良の飛鳥に引っ越しをしましたが、芸術療法の授業は今でも夏季集中講義で継続して担当させていただいています。後輩の指導ができるのは本当に嬉しく、毎年大学に伺えることが楽しみです。いつも夏季集中講義の授業をサポートしてくださる事務の方々の温かさにも支えられています。

引っ越しに伴って、教育関係のスクールカウンセラーを続けながら、奈良教育大学の特任准教授を経て、2020年4月からは奈良女子大学の特任教授として勤務しております。また、同大学のCSW(キャンパスソーシャルワーカー)の担当にもなり、これまでの臨床経験や研究を活かしながら、実践と研究を行っています。早いもので奈良に引っ越して8年が過ぎます。距離は離れていますが、毎年の夏に夏季集中講義に文教大学を訪れながら新しい校舎が立っていく様子などを見ていて、移り変わりはありながらも私の学びの故郷であることには変わりなく、いつも在学時の気持ちを思い起こして、安心感のようなものを感じています。ここに30周年の原稿執筆の機会を頂戴したことに感謝して、また自分も学び続けようと思っております。これからも文教大学大学院人間科学研究科が学生の皆様の学びの故郷になれるように祈念しております。


栗本 美百合

2013年度博士号取得 臨床心理学専攻
奈良女子大学