文教大学大学院 人間科学研究科 30周年記念サイト

山崎 健之介(2004年度修了)

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この度は、文教大学大学院人間科学研究科創立30周年を迎えられたこと、心よりお祝い申し上げます。

私は現在埼玉県に骨の髄までどっぶり浸かっていますが、生まれは熊本県、育ちは千葉県で、埼玉県とは無縁の生活をしておりました。そんな私が最初に埼玉県とご縁を持つことになったのが文教大学でした。

私は他大学の他学部出身で、当初は教員を志望していました。大学を卒業してすぐに教員になる勇気がなく、生徒指導や教育相談のノウハウを学びたいと考え、大学院進学を考えました。しかし、身近に大学院進学を志望する人がいなく、どうしたものかと路頭に迷っていたところ、いくつかのご縁の末に拾ってくれたのが文教大学でした。

ただ、今振り返ると、ここが人生の分かれ道でした。大学院の最初の授業で、「では、来週までにロールシャッハとWAISを取ってきてください」と言われ、何て場違いなところに来てしまったんだろうと愕然としました。心の中で「あれ?入るところ間違えた?」と呟いたのを今でも懐かしく思い出します。さらに、同期が優秀で、意識も高く、院生室では知らない単語や人名に加え、文サビ、英ゼミなどの業界用語もポンポン出てきて、路頭どころか樹海に迷い込んだような混沌とした大学院生活のスタートとなりました。

このように始まった大学院生活でしたが、その後も修論のテーマが定まらず、オリエンテーションも定まらず、そもそもどうして大学院に進学したのかもわからなくなってきて、まさに自我同一性拡散状態。五里霧中、暗中模索の日々でしたが、そんな私を救ってくれたのも同期や先生方でした。初めて参加した輪読会、先生をお呼びした勉強会や合宿、体育館を借りての運動会、節目節目に開かれた酒席、そして、そこから生まれた伝説の数々。知識や経験の不足を埋める以上に、孤独や迷いを吹き飛ばし、この世界の魅力や奥深さを知り、次第にこの道で生きていく覚悟のようなものができていったように思います。

大学院修了後、一度埼玉県を離れたものの、再びご縁があって埼玉県へ。現在は埼玉県在住の二児の父として、埼玉県川口市の行政機関である川口市立教育研究所でカウンセラーとして勤務しつつ、埼玉県内でスクールカウンセラーや特別支援教育の専門家チームのメンバー、男性のための電話相談の相談員などの活動をしております。また、これもご縁で、埼玉県公認心理師協会の理事と、埼玉県内のスクールカウンセラーの職能団体である埼玉学校臨床心理研究会の副代表を務めております。

「思えば遠くへ来たものだ」という言葉がありますが、文教大学との出会いが、私をここまで運んでくれ、共に歩む仲間や臨床の師、さらには人生の喜びまで与えてくれました。あの時私を拾ってくれた文教大学に改めて感謝申し上げるとともに、このご恩を少しでもお返しできるように、日々の臨床や後進のサポートに尽力していきたいと思っています。

未筆ながら、文教大学大学院人間科学研究科の一層のご発展と皆様方のご活躍を祈念いたしまして、お祝いの言葉とさせていただきます。


山崎 健之介

2004年度修了 臨床心理学専攻
川口市立教育研究所