文教大学大学院 人間科学研究科 30周年記念サイト

萩原 裕子(2002年度修了)

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この度は、30周年を迎えられましたこと、こころよりお祝い申し上げます。

私は文教大学大学院を修了後、現在は大学病院に勤務する傍ら、東日本大震災以降の震災支援活動、大学での教育活動など、さまざまな領域で仕事をしております。また、修士論文で取り組んで以来、高齢者の心理療法「回想法」についての実践?研究を重ねてまいりました。修了した後の2年間は9号館の準備室に職員として勤務しました。大学院には4年間、その後は非常勤講師として学部でのかかわりもありますので、文教とのご縁は20年近く続いているように思います。

私が臨床心理士を志した時、指定大学院は全国で10数校しかなかったと記憶しております。その貴重な1校である本学に、娘の幼稚園入園と同時に入学しました。大学では別の専攻(哲学科美学美術史学専攻)で学んでおり、1年間は科目等履修生として文教大学で学んでいたとはいえ、基礎的な知識は圧倒的に不足していました。

必死についていっていた私に、文教の先生方はいつも温かい言葉をかけてくださり、励ましながら、指導してくださいました。途中で修士論文のテーマを高齢者領域に変更した時も、すぐに実践の現場に連れて行ってくださった今野義孝先生、修士論文の相談にいつも温かく応じてくださった岡田斉先生、専攻の枠を超えて細やかに面倒を見てくださった秋山美栄子先生、その他たくさんの先生に支えられました。ゼミで指導してくださった岡堂哲雄先生からは、幅広い視野で冷静に物事をとらえてゆくこと、家族心理学の基礎を学びました。

また、院生同士のつながりもとても大切なものでした。年齢の差、さまざまな違いをそのまま認めてくれて、一緒に学び、支え合った仲間との時間、その後のつながりは、私の宝物となっています。博士課程にいらした先生方は、メンターのような存在として、導いてくださいました。「私も、この方たちのような臨床心理士になりたい」と感じたことは、その後の私の道しるべとなりました。

大学院での生活を支えてくださった、助手の草田寿子さんの存在も大切なものでした。細やかに、きっちりと一つ一つの仕事に臨むお姿は、私の社会人としてのお手本になっています。仕事の合間に研究の指導をしてくださったり、子どものことも気遣ってくださったり、公私ともに支えて、励ましていただきました。

これらは、文教大学の建学の精神である「人間愛」に基づいたものであり、この礎があったからこそ、臨床心理士として20年近く、なんとかやってこられた、と深く感謝しております。

この感謝の気持ちとともに、臨床の実践の場において、文教大学の教育の場において、少しでもお返しできるように、引き続き精進してゆきたいと思っております。


萩原 裕子

2002年度修了 臨床心理学専攻
埼玉医科大学病院 神経精神科?心療内科
公認心理師
臨床心理士
文教大学人間科学部 非常勤講師