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COVID-19禍を経験して~準備室から~

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文責:渋木 恵
院準備室職員


COVID-19禍を経験して
この稿では、深い因縁のあるCOVID-19について、申し述べさせて頂きます。

COVID-19の猛威が振るい始めた2020年、人間科学研究科の院生が研究活動を行う9号館にとっても、激動の日々が始まりました。

まず、9号館のCOVID-19の対策としては、3階建ての各階の廊下にアルコール消毒液の設置、大学院講義室である9101教室には教壇にパーテーションを設置し、換気の補助をするため、空気清浄機やサーキュレーターの常時稼働、そして共有部分の十分な換気や消毒を徹底して行いました。

他にも、院生室については、各院生室に空気清浄機を1台ずつ設置し、院生が個人でも積極的な消毒ができるようアルコール消毒液やウェットティッシュ等の除菌セットの常備、院生同士のソーシャルディスタンスが保てるよう割り当てられた各個人の机ごとにパーテーションの設置を行いました。そして院生には適宜「院生室の利用上の注意事項」として「空気清浄機を常時稼働し、ドア?窓を開放しながら、2方向からの換気を十分に行うこと」等の遵守徹底の呼びかけを行いました。

その中でも、準備室職員にとって、大変心苦しく、今でも忘れられないことがあります。それは、2020年度の始まりである2020年4月から8月末まで院生室の利用が誰一人として叶わなかったことです。その後、国内のCOVID-19の感染状況を踏まえ、新型コロナウイルス感染症対策組織越谷支部の判断を仰ぎながら、ついに2020年9月より、院生室1部屋につき午前もしくは午後に各1名の利用が認められた時には、暗闇に一筋の光が差し込むような心地がしました。

しかし、院生室の利用人数や利用時間が少しずつ緩和されても、人数制限が設けられているため、完全予約制は変わらず、希望に沿えない場合は、別日程での提案、調整を苦慮しながら進めるなど、スムーズな院生室利用のため、他部署や警備との連携を図る日々となりました。

私たち、準備室職員にとって、院生の快適な研究活動の環境を守ることは、常日頃、心掛けていることです。しかし、COVID-19禍の中で万全な対策や準備を行っていても、院生全員が院生室を有効に活用することが叶わない状況や利用時間の短縮の継続、そして何よりも院生同士、先生方との交流が難しい中で孤独を抱えている院生が多くいらっしゃるのではないかと拝察され、心を痛める日々を過ごしました。

その後、日本のCOVID-19の感染状況は徐々に沈静化し、2021年4月からは様々な注意事項の遵守徹底を継続しつつ、やっと念願の院生全員の院生室利用が認められることとなりました。

あれから4年余り経過した現在、9号館の環境もCOVID-19以前の落ち着きを取り戻しています。苦難を乗り越えることができた教訓を糧にしつつ、今後も文教大学の理念である「人間愛」を心に刻み、院生一人一人の心に寄り添い、想いを大切にしながら、これからもより良い研究活動ができる環境の維持、向上に努めていきたいと存じます。